オンリー・ザ・ブレイブ

克服するのは、愛する人の為に。

アリゾナ州プレスコット市の森林消防隊員を率いるマーシュは、過酷な任務に耐えられるよう、日々隊員たちを厳しく鍛え上げていた。ある日その森林消防隊に、薬物中毒の過去があり、おまけに窃盗罪で保護観察中の若者マクドナウが入隊を希望する。“娘が生まれたのを機に心を入れ替えたい”という彼を、マーシュは周囲の反対を押し切り採用する。そしてマクドナウはその言葉通り、過酷な訓練に必死で食らいつき、次第に他の隊員たちの信頼を勝ち取っていく。そんな中、現場での裁量権を持つべく、地方自治体の消防隊としては前例のない、特別な精鋭チームにのみ与えられる“ホットショット”の認定を受けようと考えるマーシュだったが…。(allcinema)

森林消防隊が、選ばれた精鋭ホットショットになる為に、結束を高める男達。郊外には、荒涼とした草原が広がるアリゾナの土地は、厳しい自然災害に曝されており、山火事が起これば、街が炎に呑み込まれる恐れがあった。炎の勢いは凄まじく、消防隊は命懸けの仕事であった。そんな、危険と隣り合わせの仕事をする男達は街で尊敬され、人々から親しまれていた。マーシュがホットショットになる事を希望したのは、そんな、住民からの期待を背負う為に、より専門性が高く、苦難の任務に立ち向かう事の出来るだけの、資格と信頼を得る為であった。消防隊として街を守っている、という自負が、男達を磨き上げ、天命を受け、それに大いに応えるのであった。

麻薬中毒にあったマクドナウは、そんな、希望と自信に溢れた男達に惹かれて、入隊を希望するのであった。若者とは、魅力的なものには惹かれるものであり、消防隊という、街からの期待を背負っている男達は、公務に就く職員ではなく、「英雄」と呼べるものであったからだ。希望がある処に、若者は集い、彼のような消防隊に憧れる若者は、多かったに違いない。繁栄とは、富や栄華だけでなく、そうした、人の繋がりが集い、連鎖して広がって行く公の仕事の場にも言えるものだ。つまり、マクドナウは、マーシュらのように成りたい、と憧れを持って入隊したのであって、その直感は正しかった、という事であり、マクドナウは、立派に隊員として成長していく。そこで初めて、彼は隊員達と同じ地平に立ち、尊敬を得る、という事だ。つまり、精鋭とは、雄弁さによって証されるのではなく、仕事の能力や勇敢さをもって、認められるものなのである。

そして、英雄である精鋭消防隊、ホットショットとはなるが、ヒロイズムが、人生の全てとは限らないのである。それは、不都合な真実であるが、隊長エリック・マーシュの妻アマンダは、夫を愛してはいるが、夫の側はそれに十分に応えておらず、消防隊としてストイックな仕事人間になり、家庭を顧みない事から、夫婦喧嘩になる。アマンダからすれば、尊敬はすれども、それと、愛とは異なるという事で、隊長である夫が街の期待を背負い尊敬されるからこそ、その愛を重しと思い、強くそれを与えられる事を望むのである。ヒロイズムとは、公共の場、社会での栄光ある立場であり、一家庭人としての夫の価値とは異なる、という事だ。

彼らの勇敢さとは、仕事の為であれば、どんな苦難をも厭わない事にある。郊外の草原地帯の背後には、街が広がっている。彼らの後方には、守護を必要とする、無数の命が横たわっているのであって、彼らの働きが不十分であれば、それが、危険に曝される、という事だ。だから、ヒロイズムとは、普遍的な愛であり、アマンダが嫌ったのは、まさにその公の顔にある。夫として欲望に素直になって欲しくあり、マーシュが私人として振舞う事を自制するのは、強い精神力が要る事だ。だが、誰かがやらねばならぬ事であり、アメリカの大地は、厳しい自然を人間に課し、仕事にストックになれる事は、それとの戦いに身を投じる事である。仕事とは、適当にやり過ごす事も出来るが、そこに、プライドを持って大義を持ち込める事は、自然と大人を尊敬の対象へと昇華させるのである。つまり、彼らの苦難とは、自身が望んだ事であり、その行動と結果には、何の悲愴もないのだ。
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Tracked from あーうぃ だにぇっと at 2018-07-01 18:28
タイトル : オンリー・ザ・ブレイブ
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by lower_highlander | 2018-06-24 18:02 | 映画 | Trackback(1)

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